マウスコンピューター MDV ADVANCEの実機レビュー

HDDがSSD並みに高速化
MDV ADVANCEは、高性能CPUやGPUを搭載可能で、拡張性も高いハイスペックデスクトップPCです。
MDV ADVANCEは、チップセット(P67、Z68、X58)によって3つのモデルに分けられます。本機は、Z68チップセットを搭載したモデルで、HDDがSSD並みに高速化するインテル・スマート・レスポンス・テクノロジー(Intel SRT)に対応しています。
Z68チップセットは、本来、内蔵GPUを利用できますが、本機は映像出力端子がないため、内蔵GPUが使えません。オーバークロック+内蔵GPUをしたいために、本機を検討している方は注意してください。
では、Intel SRTを中心に、本機のメリット・デメリットをレビューしていきます。
目次
| 1 MDV ADVANCE の基本スペック | 2 特徴1 - Z68チップセット搭載だが・・ |
| 3 特徴2 - スマート・レスポンス・テクノロジー搭載 | 4 特徴3 - 900W電源 |
| 5 総合ベンチマーク | 6 動画のエンコード時間のチェック |
| 7 ゲームのベンチマーク | 8 静音性のチェック |
| 9 パーツの温度のチェック | 10 消費電力のチェック |
| 11 外観をチェック | 12 ケースの内部とエアフローのチェック |
| 13 OSの再インストール(リカバリ)方法 | 14 シリーズ/パーツの選び方 |
| 15 まとめ |
MDV ADVANCE の基本スペック
本機の基本スペックを紹介します。※2011年7月23日現在の情報です。BTOパソコンという特性上、時期が経つと選択できるパーツは異なります。
マザーボード X58、Z68、P67のチップセットを搭載したマザーボードを選択可能です。本機はZ68チップセットで、中身はMSI製MS-7681でした。 |
CPU Core i7クラスの高性能なCPUを選択可能です。X58モデルはエクストリームエディションも選択可能です。本機は、Core i7-2600Kです。 |
グラフィックカード ミドル~ハイエンドクラスのカードを選択可能です。本機はGeForce GTX560Tiです。本機の中身はNGTX560TI-1GPI-Fでした。Z68ですが、内蔵GPUは使えないので注意(後述)。 |
メモリ X58チップセットならトリプルチャネル、Z68とP67はデュアルチャネルです。容量は選べます。本機はデュアルチャネルの8GBです。中身はサンマックス・テクノロジーズ製でした。 |
ハードディスク 7200rpmのHDDを搭載可能です。本機の容量は1TBです。本機の中身はWD製WD10EALXでした。 |
SSD 選択するシリーズ(チップセット)によって、選択できるSSDは変わってきます。本機のようにZ68チップセットの場合、80GBのインテルSSD 320固定で搭載されます。 |
光学ドライブ DVDスーパーマルチまたはブルーレイドライブを選択可能です。本機はDVDスーパーマルチドライブです。 |
電源 500~900Wまでの電源を選択可能です。本機は80PLUS SILVER取得のAcBel製900W電源です。 |
テレビチューナー 3波(地デジ/BS/110度CS)テレビチューナーを搭載可能です。本機は非搭載です。 |
拡張性 シリーズによって変わりますが、本機は、PCI Express x16が2スロット、PCI Express x1が3スロット、PCIが2スロットあります。 |
特徴1 - Z68チップセット搭載だが・・
MDV ADVANCEは、2011年7月23日現在、P67、Z68、X58といったハイエンドなチップセットを搭載したマザーボードを選ぶことができます。
本機は、Z68チップセットを搭載しています。このチップセットの主な特徴は次の4つです。
(1)オーバークロック可能
(2)マルチGPUがx8/x8分割で使用可能
(3)内蔵GPUが利用可能(Intel HD Graphics 3000搭載。内蔵GPUと、グラボを切り替えられるVirtuも使用可能。)
(4)インテル・スマート・レスポンス・テクノロジー(Intel SRT)を使用可能
ただし、本機に搭載されたマザーボードは、映像出力端子がありません。これは(3)ができないことを指します。
元々、高性能なGPUを搭載しようと考えていた方は、(3)の機能は無くても特に問題はないでしょう。しかし、グラボは搭載せず、Z68の内蔵GPU(Intel HD Graphics 3000)を使いつつ、オーバークロックやIntel SRTを使用したいと考えていた人には残念な構成になっています。
特徴2 - インテル・スマート・レスポンス・テクノロジー搭載
インテル スマート・レスポンス・テクノロジー(Intel SRTまたはISRT、SRT等と略される)とは、HDDのキャッシュとしてSSDを用いる機能で、HDDへの読み込みが(モードによっては書込みも)向上する機能です。
本機は、80GBのインテル SSD 320が搭載され、購入時からIntel SRTを使用できるようになっています。SSDに割り当てられているキャッシュサイズは18.6GBです。デフォルトでは「拡張モード」になっていますが、個人的には「最速モード」にしても良いと思います。
■インテル スマート・レスポンス・テクノロジー(Intel SRT)について■
Intel SRTについてご存じない方も多いと思うので簡単に補足します。
Intel SRTとは、OSとHDDの間に、キャッシュ用SSDを挟んで、HDDのアクセス速度を向上させる機能です。一度読み込んだファイルは、SSDにキャッシュされ、次から同じファイルにアクセスするときはSSDから読み込むため高速になります。メモリにキャッシュするのと違い、OSを再起動してもキャッシュは残ったままです。通常、HDDの使用容量よりSSDの容量の方が小さいので、HDD内の全てのファイルをキャッシュすることはできません(もしHDDの使用量が少ない場合は、SSD単体を搭載したほうがいい)。しかし、
(おそらく)使用頻度の高いファイルや、最近使ったファイルを優先的にキャッシュするので、読み込みの体感速度は、SSDに近いものを得られるはずです。
Intel SRTには「拡張モード」と「最速モード」の2種類あります。これらは書き込み時の動作が異なります。
「拡張モード」はHDDへ書くと同時にSSDへも書き込みを行うライト スルーキャッシュ方式です。安全な書き込み方ではありますが、書き込み速度はHDDと大差ありません。むしろ書き込みは、HDDより若干遅くなります。
「最速モード」はSSDへ一度書き込み、間隔をおいてHDDへ書き込みを行うライト バック キャッシュ方式です。SSDからHDDへの書き込みが完了する前にディスク障害が発生すると、データが消える可能性があります。ただしSSDが物理的に壊れていなければ、再起動時に途中で停止した書き込み処理を再開します。
キャッシュに割り当てるサイズは、18.6GBまたは、64GBから選択できます。多くキャッシュできるほうが、キャッシュヒット率は高くなるので、64GBのほうが良いと思います。

では、本機のディスクへのアクセス速度を確認していきます。
CrystalDiskMarkのスコア
まず、Intel SRT有効時の速度を計測する前に、一度Intel SRTを無効にし、HDDとSSD単体のCrystalDiskMarkのスコアを計測しました(下図)。尚、HDDは7200rpmの一般的な製品で、SSDはインテルSSD 320(80GB)です。SSDのシーケンシャルライトは、HDDよりも遅いですが、その他はすべてSSDのほうが速いです。

Intel SRT を無効にした後のHDD、SSD単体のスコア
※テストデータはランダム
次に、Intel SRT有効時のスコアです(下図)。
「拡張モード」のとき(下図の左側)は、読み込み速度はSSD単体のスコアとほぼ同等ですが、書き込み速度はHDDかSSDの遅いほうの速度にひっぱられています。具体的にはシーケンシャルライトはSSDとほぼ同等、ランダムライトはHDDとほぼ同等になっています。
「最速モード」のとき(下図の右側)は、ほぼSSDの速度と同等になっています。

Intel SRT を有効にしたときのスコア。左が拡張モードで、右が最速モード
※テストデータはランダム
OSの起動時間
OS起動時間のテスト結果です。HDD単体でのOS起動時間と、Intel SRT有効時のOS起動時間を掲載します(下図)。
Intel SRTを有効後、1度目のOS起動時間はHDD並であるものの、2度目以降は約10秒短縮した41秒で起動しました。尚、最速モードでは計測しませんでしたが、拡張モードとほぼ同等になるはずです。

電源ボタンを押してからデスクトップ画面が表示されるまでの時間を計測。
Intel SRTは2度目の再起動時間。尚、図には書いてませんが1度目はキャッシュが無いので約49秒かかりました。
PhotoShopの起動時間
起動に時間のかかるPhotoShopのアプリケーションの起動時間も計測しました。HDD単体での起動時間と、Intel SRT有効時の起動時間を掲載します(下図)。
Intel SRT有効時は、こちらも1度目こそHDD並の起動時間であったものの、2度目以降はHDDよりも約4秒速く起動するようになりました。尚、最速モードでは計測しませんでしたが、拡張モードとほぼ同等になるはずです。

OS起動直後のPhotoShopの起動時間。
Intel SRTの結果は、Intel SRTを有効後、1度PhotoShopを起動してキャッシュに入れ、OS再起動後に計測。
尚、図には書いてませんが、Intel SRTを有効後、1度目のPhotoShopの起動時間は約9秒でした。
外付けHDDへのコピー時間(読み込みテスト)
ファイルのコピー時間も計測結果です。
まずは、読み込み時間を確認するため、ローカルディスク(PCに内蔵したHDD、SSD、及びIntel SRT有効時のHDD)からUSB3.0外付けハードディスクへのファイルコピー時間を計測しました。
拡張モードでも最速モードでも、Intel SRT有効時は、1度目のファイルコピーはHDD並であったものの、2度目以降はHDDよりも約10秒速くコピーすることができました。

ローカルディスクからUSB3.0外付けハードディスクへファイルをコピーしたときの時間。
ファイルサイズは2.42GB、ファイル数は386個(圧縮ファイル含む)。
Intel SRTを有効後、1度ファイルコピーを実施しキャッシュ済みにした後、OS再起動後に計測。
各測定は、OS再起動後に実施(続けて測定すると、メモリにキャッシュされて通常よりコピーが速く終わるため)。
外付けHDDからのコピー(書き込みテスト)
次は、書き込み時間を確認するため、USB外付けハードディスクからローカルディスクへのコピーしたときの結果です。
Intel SRT(拡張モード)有効時は、HDDとほぼ同等な書き込み時間でしたが、最速モードにしたときは、SSDとほぼ同等の書き込み時間でした。

ローカルスディスクからUSB3.0外付けハードディスクへファイルをコピーしたときの時間。
ファイルサイズは2.42GB、ファイル数は386個(圧縮ファイル含む)。
各測定は、OS再起動後に実施(続けて測定すると、メモリにキャッシュされて通常よりコピーが速く終わるため)。
Intel SRT搭載の本機はどんな人におすすめ?
SSD単体では容量が足りず、HDDの速度では満足できない人におすすめです。逆に言うと、SSDの容量で足りる人は、SSDのみ使用すれば良いと思います。
Intel SRTはOSがインストールされていないHDDでも有効にすることができます(ただし有効に出来るHDDは1つのみ)。そのため、「単体SSD+HDD/SSD(Intel SRT)」という構成も可能です。ただし、せっかくデフォルトでIntel SRTが有効な本機を買っても、OSを別のSSDに移動する手間が発生します。
また、キャッシュに使用するSSDは、OS再インストール無しで簡単に取り替えられるため、高速なSSDが発売されたら次々交換していくのも面白いと思います(高速SSDがもったいない気もしますが・・・)。
特徴 - 高い拡張性
MDV ADVANCE は、非常に拡張性に優れたPCです。
PCIおよびPCI Expressスロット数は、MDV ADVANCEのシリーズによって異なりますが、本機の場合は、PCI Express x16が2スロット、PCI Express x1が3スロット、PCIが2スロットもあります。
またベイの数も豊富で、光学ドライブなどを搭載する5インチベイが3つ、また3.5インチベイが2つ、さらにHDD用ベイが4つもあります。特に、メーカー製PCで、10万円程度の価格で、HDDを4台搭載できる製品は珍しいです。
ただし、3.5インチベイはシャドウベイ(表から見えないベイ)になっています。ここには主にHDDを搭載しますが、HDD用ベイが別途あるので、この3.5インチベイは何に使えば良いのか私には不明です。3.5インチベイは使われることはない気がします。

MDV ADVANCEの内部
また、5インチベイは、本体にカバー(ドライブ等が直接見えないようにするフタ)が取り付けられています。このカバーを見ると、光学ドライブおよび、カードリーダー向けに作らています。これ以外のデバイスを設置するには、カバーを取るなど自分で工作する必要がでてくるため、見た目や使い勝手が悪くなります。ただ、この2種類以外のドライブを搭載する機会は、今はほとんどなくなったので、それほど気にする点ではないです。

5インチベイには、ケースにカバーが付いています。
見た目は良いですが、光学ドライブとカードリーダー以外の搭載はスマートではないです。
900W電源搭載可能
本機は、80PLUS SILVER取得の900W電源(AcBel製)を選択することが可能です。今後、高い性能のグラボを搭載したいと思っても容量不足になる心配は少ないです。ただし、マルチGPUを考えている方は、容量が足りなくなる恐れはあります。



